清流長良川の鮎ものがたりを辿る

流域の人々が紡いできた日本随一の鮎文化

日本三大清流の長良川は、郡上の源流域から山間や峡谷を流れ、濃尾平野へ出て伊勢湾へと注ぎます。長さ166キロメートル。いつの時代も流域に住む人々にとって、故郷の風景といえば滔々と流れる長良川が思い浮かぶものです。そして、長良川そのものと言っても過言ではないのが、透き通った川底の石のそばに住まう鮎たちです。

日本でも随一といわれる長良川の鮎。鮎は春、稚魚になると川底の石の苔を食べて成長します。鮎料理の醍醐味である、上品でほろ苦い芳醇な内臓は、鮎が食べる苔で風味が変わるといわれ、苔の豊かさ、つまり苔を育む長良川の生態系の豊かさこそが、美味しい鮎の源なのです。

平成27年に世界農業遺産に認定された「清流長良川の鮎」。鮎だけではなく、長良川の水の美しさや生態系、水を育む源流域の森林、さらに流域に住まい、生業を営み、文化を築いてきた人々の暮らしすべてを含めて認定されました。

鮎の一生は1年です。伊勢湾で成長して上流で成熟し、産卵のために長良川を下ると生を終えます。川漁師は毎年5~6月に鮎漁の解禁を迎えると、水の濁り、水位、天候などを見極めて、実に約20もの伝統漁から最適な方法で鮎を捕らえます。鮎の成長とともに変わる風味を楽しむのも、風情ある食文化です。また漁師たちにとって、変わりゆく川を守ることは生きることと同じです。秋には鮎の種付けを手助けし、受精卵を河口付近にまで運搬しています。郡上漁業協同組合では水圏の源である源流部の森に広葉樹を植樹する活動を行っています。

夏の川を彩る、1300年以上続く鮎の伝統漁法・鵜飼。今なお、変わらぬ姿で観ることができるのは川と人の暮らしが脈々と紡がれてきた証なのです。悠久の昔から続く鮎を巡る物語を旅しませんか。

平成28年7月24日は「鮎の日」です!県内各地で各種イベントを開催します。

平成27年12月に「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されたことを記念し、岐阜県では7月第4日曜日を「GIAHS鮎の日」として制定しました。これは、長良川における人の生活、水環境、漁業資源が連環する「長良川システム」や世界農業遺産の意義を認識するとともに、清流の象徴である県魚「鮎」に対する関心を高めることを目的にしています。

伝統漁法 鵜飼

ぎふ長良川鵜飼

鵜舟が横隊になり漁をする総がらみは圧巻

漆黒の長良川で、篝火に照らされる中、鵜と鵜匠が一体となって魚を捕る伝統漁法・鵜飼。長良川で1300年以上前から続く幽玄の世界を、観覧船から鑑賞することができます。日が暮れ、花火が上がると開始の合図。伝統装束をまとった鵜匠が手縄の先の鵜を操りながら、漁をして下る狩り下りが行われます。鵜匠は時折、鵜に「ホウホウ」と声をかけて励まします。クライマックスは、鵜舟が川幅いっぱいに並び、鮎を追い込む総がらみ。ダイナミックなその様子は、さながら絵画のよう。長良川と人の営みを肌で感じられる幻想的な体験です。

楽しみ方

岐阜 ぎふ長良川鵜飼 s

住/岐阜市湊町1-2(岐阜市鵜飼観覧船事務所)
電/058-262-0104 開/5/11~10/15の19:30~※要予約
休/平成28年は9/15、増水等で鵜飼ができない日
料/乗合船一人3,100円~、貸切船一艘40,800円~
交/岐阜バス「長良橋」下車徒歩1分
HP/http://www.ukai-gifucity.jp/ukai/

長良川うかいミュージアム

「長良川うかいミュージアム」では、鵜飼の歴史や鵜匠、鵜の生態などについて映像や模型などで楽しく紹介しています。

岐阜 長良川うかいミュージアム(岐阜市長良川鵜飼伝承館) s

住/岐阜市長良51-2
電/058-210-1555
営/10/16~4/30は9:00~17:00、5/1~10/15は9:00~19:00
休/火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
※5/1~10/15は休みなし
料/大人500円、子ども250円
P/67台(有料)
交/岐阜バス「鵜飼屋」下車徒歩6分
HP/http://www.ukaimuseum.jp/

伝統漁法 鵜飼

小瀬鵜飼(おぜうかい)

素朴で臨場感あふれ、漆黒の中で行われる鵜飼

ぎふ長良川鵜飼よりも約10キロメートル上流で行われる小瀬鵜飼は、素朴で臨場感があるのが特徴です。「昔ながらのやり方を踏襲しているので、鵜舟なども船頭が人力で動かしますし、観覧船の照明もろうそくのみです」と話すのは足立太一鵜匠代表。最大の見どころは、魚つき保安林に指定されている松尾山を背景にして行われる狩り下り。民家の明かりもなく、ただ闇が広がる中で、鵜が鮎を捕らえる姿や鵜匠がそれを吐き出させる様子を、至近距離で観ることができます。ぎふ長良川鵜飼とともに、その技術は国の重要無形民俗文化財に指定されています。

楽しみ方

岐阜 小瀬鵜飼 s

住/関市小瀬76-3(関遊船株式会社
電/0575-22-2506
開/5/11~10/15 乗船開始時間5・6月は18:50、7・8月は19:00、9・10月は18:40※要予約
休/増水で鵜飼ができない日
料/乗合船一人3,400円~、貸切船一艘28,000円~
P/20台
交/東海環状道関広見ICより車5分
HP/http://www.ozeukai.net/

岐阜 鵜の家 足立 s

住/関市小瀬78
電/0575-22-0799
営/11:30~13:00、16:30~19:00 ※要予約
休/不定休
料/天然鮎フルコース8,000円~(税サ込)、見学のみ500円
P/30台
交/東海環状道関広見ICより車5分
HP/http://www.ccn2.aitai.ne.jp/~akane/

岐阜 鵜匠の家 岩佐 s

住/関市池尻74
電/0575-22-1862
営/11:30~14:00、16:30~21:00
休/不定休
料/天然鮎フルコース6,800円(全て椅子席)
P/15台
交/東海環状道関広見ICより車5分
HP/http://www.ayuryouri.com/

育った川や時期によって味が変わる鮎を食す

「岐阜の鮎は世界一」と語る店主が供す、新発想の鮎料理

明治20年創業の『泉屋物産店』の5代目・泉善七さんが供す鮎料理は、固定概念を覆す品々と美味しさに満ちています。サクッとした、一口目の感動を追求した天然鮎の塩焼きは食通もうなる一品。「約40分、出てきたワタ汁をかけながら焼きます」。芳ばしい頭、ほろ苦いハラワタ、ほろほろの身が口に広がります。さらに、熟れ寿しや鮎ラーメンなど新発想の鮎料理に、鮎の奥深さを知ります。

極上の天然鮎 6〜10月

約1年間熟成させる鮎の熟れ寿しは、滋賀県の鮒寿しの製法がベース。

岐阜 川原町泉屋 s

住/岐阜市元浜町20
電/058-263-6788
営/飲食11:30~LO14:00、17:00~LO20:00 (10/16~5/10の夜は予約営業)
休/水曜日(7・8月は無休、2月は休業あり)
料/天然鮎フルコース6,480円〜 P/15台
交/岐阜バス「長良橋」下車徒歩7分
HP/http://www.nagaragawa.com/

郡上 だるまや

鮎の集荷場でもあり、天然鮎の醍醐味を伝える品を提供します。

住/郡上市白鳥町白鳥南條川原1110-2
電/0575-82-2057、0575-82-5723
営/11:00~LO14:00、17:00~LO21:00
休/木曜日
料/天然鮎三昧定食4,110円、鮎の笹焼き865円(壺焼は1壺につき+200円)
P/20台
交/長良川鉄道美濃白鳥駅より徒歩17分
HP/http://www.gujoayu.com/

郡上 炭火焼うなぎ魚寅

18時以降はその日に長良川や吉田川で釣れた鮎に出会えます。(要確認)

住/郡上市八幡町新町953
電/0575-65-3195
営/11:00~14:30、17:00~20:00
休/火曜日
料/天然郡上鮎膳3,900円
P/4台
交/東海北陸道郡上八幡ICより車5分
HP/http://www.uotora.co.jp/

関 天然鮎料理 おもだか

50人以上の釣り師から仕入れる天然鮎のコースが人気です。

住/関市板取3586-1
電/0581-57-2552
営/6月中旬~10月下旬11:00~18:00
休/期間中無休
料/天然鮎コース3,980円(税抜)
P/60台
交/東海北陸道美濃ICより車50分

関 徳兵衛茶屋

板取川の鮎を生きた状態から炭火で調理。塩焼きを定食でどうぞ。

住/関市板取5822-1 電/0581-57-2440 営/11:00~16:00 休/火曜日 料/天然鮎塩焼き定食1,750円 P/20台 交/東海北陸道美濃ICより車30分 HP/http://www.tokubei-chaya.jimdo.com/

岐阜 あゆ料理のすぎうら

鮎掛け師の主人が釣った新鮮な鮎を刺身や囲炉裏で焼く塩焼きで。

住/美濃市前野361-1
電/090-3444-4731
営/完全予約制(1日2組、14名まで)
休/不定休
料/あゆのコース 4,300円(税抜)
P/3台
交/東海北陸道美濃ICより車で5分
HP/http://j47.jp/sugiura/

岐阜 丸福寿し

川蟹であるモクズガニは茹でることで、濃厚な旨味が堪能できます。

住/岐阜市日置江5-72
電/058-279-0184
営/11:30~14:00、16:00~21:30 ※モクズガニ料理は要予約
休/木曜日
料/ゆで川蟹1匹500円〜(税抜)、川蟹コース料理5,000円(税抜)
P/20台
交/岐阜バス「日置江4丁目」下車徒歩すぐ
HP/http://www.maruhuku.com/

落ち鮎漁 やな

やな漁とは、川の中に足場を組んで竹のスノコを敷き、上流から下ってくる落ち鮎を捕る伝統漁法です。落ち鮎とは、産卵のために伊勢湾へ下る鮎のこと。「8・9月は大水の後に下りてくる鮎、10月は本格的に落ち鮎がかかるよ」と杉ヶ瀬ヤナの森尾清左衛門さん。毎年、期間限定で開く観光ヤナでは、上流で苔を食べて脂ののった鮎や、プチプチの卵を持つ子持ち鮎を、何匹も出てくるコースで味わえます。場所によっては魚のつかみ取り体験も実施。晩夏から秋にかけての風物詩です。

昭和50年頃、鮎好きの有志5人で開店。古くからのやな場に毎年自らやなを設置し、かかった天然鮎を塩焼きや魚田、鮎雑炊にしてふるまいます。開店以来、焼き場を担う横枕さんの塩焼きは店の看板。強火で一気に焼き上げると外はパリッ、中はふっくら。「美味しい郡上鮎をただ食べてもらいたい」と森尾さんは笑います。

郡上 杉ケ瀬ヤナ s

住/郡上市大和町島5338
電/0575-88-3375、0575-88-2047(旅館清竜)
営/8月下旬~10月下旬11:00~19:00 ※要予約
休/鮎のない日 料/セット3,500円・5,000円(税抜)
P/約15台 交/東海北陸道ぎふ大和ICより車5分

板取川のほとりに立ち、県内随一の大きさを誇る観光ヤナ。塩焼きや郷土料理の煮付け、コリッとした刺身に加えて、だしの効いた鮎雑炊が評判です。さらにここでは、小学生以下の子どもを対象につかみ取り用の池で、魚のつかみ取り体験ができます。8月以降は、やなの上で清流に触れたり、運がいいと竹のスノコの上で跳ねる鮎が見られます。

郡上 板取川 洞戸観光ヤナ s

住/関市洞戸小坂1712
電/0581-58-2217
営/4~6・9・10月10:00~LO17:00、7・8月10:00~LO18:00、11月11:00~LO14:00
休/期間中無休 料/コース3,100~5,100円
P/300台
交/東海北陸道美濃ICより車20分
HP/http://www.horado.net/kankoyana/

郡上 和み舎せせらぎ s

住/郡上市白鳥町大島字中井694-2
電/0575-82-2121
営/8月~10月/11:00~20:00
休/無休(9月・10月は水曜日)
HP/http://www.nagomi-ya.jp/seseragi/

郡上 苅安ヤナ s

住/郡上市美並町白山1184
電/0575-79-2959 0575-79-2071(夜間)
営/8月第1土曜日~10月中旬/11:00~15:00※15:00以降は要予約
休/無休
HP/http://www.windsnet.ne.jp/kariyasu/

郡上 のどかの味処 みやちか s

住/郡上市美並町上田2525
電/0575-79-2160
営/7月〜11月(やな漁は8月〜10月)/11:00~14:00※14:00以降要予約
休/無休(11月は予約営業)
HP/http://www.miyachikayana.com/top.html

美濃 美濃観光ヤナ s

住/美濃市前野15-1
電/0575-35-2767
営/5月上旬~6月、10・11月初旬/11:00~LO17:00、7~9月/11:00~LO18:00
休/無休
HP/http://minokanko-yana.jp/

絶品!鮎&川魚みやげ

tit_ayu02

清流長良川の苔を食べ、冷たい急流で成長する天然鮎は、身がきゅっと引き締まり、芳醇なハラワタも格別。初夏はみずみずしい若鮎、夏は成熟した旨み、晩夏は子持ちが味わえ、川の豊かさが伝わってきます。

店名 住所 電話番号
だるまや 郡上市白鳥町白鳥南條川原1110-2 0575-82-2057
杉錠 郡上市八幡町島谷1299 0575-65-2021
丸共出荷所 郡上市美並町三戸1054-1 0575-79-2283
魚太商店 美濃市殿町50-13 0575-33-0012
長良川デパート
湊町店
HPから購入可能 058-269-3858
結の舟 漁師から直接購入可能 080-8256-4295
鮎ピザセット

tit_ayu03

白熟クリームなど、鮎から生まれた自家製調味料を使った新感覚のピザ。ジェノベーゼとマルゲリータ、飛騨牛、鮎の稚魚の4種類。4,428円。

鮎のリエット・白熟クリーム木箱入り

tit_ayu04

鮎の身と内臓の塩辛「うるか」などをペースト状にしたリエットと、鮎の熟れ寿しの熟成した米に生クリームなどを加えた白熟クリーム。濃厚な旨みがワインと相性抜群。2,700円。

岐阜 川原町泉屋

住/岐阜市元浜町20
電/058-263-6788
営/物販11:30~18:00
休/水曜日(7・8月は無休、2月は休業あり)
P/15台
交/岐阜バス「長良橋」下車徒歩7分
HP/http://www.nagaragawa.com/

img_line01

鮎昆布巻

tit_ayu05

明治10年の創業時から継ぎ足すタレが深みを生む伝統の味。歯ごたえの違う2種類の昆布を使い、しっとりもっちりの食感に。1,350円。

岐阜 鵜舞屋

住/岐阜市東鶉1-1
電/058-274-0141
営/8:30~18:00
休/無休 P/5台
交/岐阜バス「東鶉」下車徒歩5分
HP/http://www.umaiya.co.jp/

img_line01

鮎の一夜干

tit_ayu06

一匹ずつ手作業で開き、エラなどを取り除いて天日干しに。軽く炙って丸ごといただくと、太陽の下で濃縮した旨みを存分に感じます。3匹 810円。

いかだばえ

tit_ayu07

漁の日の水温で風味が異なる「白ハエ」を、店主が舌と目を頼りに煮炊きします。滋味深く、余韻となる苦味が秀逸。80g 1,080円。※11月中旬~春頃限

(天候によって商品がない場合があるため、電話にてお問い合わせください)

岐阜 𠮷むら名産店

住/岐阜市西野町3-19
電/058-262-4546
営/9:30~17:00
休/日曜日・祝日(1~3月は土日祝、7~8月中旬・12月は無休)
交/岐阜バス「メディアコスモス前」下車徒歩3分
HP/http://gifu-yoshimura.com/

img_line01

鮎昆布巻

tit_ayu08

5代目自らが、手作りと無添加にこだわり、愛情と情熱を込めて炊き上げています。骨まで柔らかく、上品であっさりとした味わいです。648円〜。

もろこの佃煮

tit_ayu09

江戸末期創業の老舗佃煮屋。白身でクセのない「もろこ」を水飴や添加物を使わず、生姜を利かせて炊き上げた昔ながらの佃煮。2,160円。※10月~6月限定

関 角鍬商店

住/関市本町8-36b
電/0575-22-0556
営/8:30~20:00
休/火曜日 P/4台
交/長良川鉄道関駅より徒歩6分
HP/http://kadokuwa.com/